ー第11話ー

ー時は流れ、遊園地当日ー

「おはよう!澪!」
「おはよう、陽翔くん」
「……おはよう、澪」
「颯真?なんかテンション低くない?」

「別に……」
(陽翔と仲良くしてるの、面白くない)

「とりあえずさ!何か乗ろうよ〜!澪は何が乗りたい?」
「やっぱり……ジェットコースター!!」
「きたー!よし、行こうぜ!颯真も行くぞ!」


ジェットコースターに乗ったり、ソフトクリームを食べたり、ゲームで盛り上がったり──
楽しいはずなのに、颯真は心から楽しめない。
ふたりが仲良さそうに笑い合う姿に、胸がざわついていた。

ー帰り際ー

澪がトイレに行き、颯真と陽翔が二人きりになる。

「なぁ、颯真。澪のこと……本気で、貰っていい?」

「……は?」

「だから、俺が澪の彼氏になってもいいかって聞いてんの。あ、でも別に許可取る必要ないか。
誰を好きになろうが俺の自由だし?」

「勝手にしろ。ただ、俺は絶対にお前に負けない。俺が澪の彼氏になる。」

「……でも、今日の遊園地デートは俺の勝ちだと思うけどな?」

「……くそっ……」

「──お待たせ〜!おまたせーっ!」

澪が戻ってくる。

「あっ澪!大丈夫。さ、帰ろっか!」

「うん!」

(颯真、元気ないな……やっぱり気にしてる……?)

ー帰りの電車ー

「颯真、次で降りるよね?」

「あぁ」

「じゃあ、俺が澪を送ってくよ」

「えっ、申し訳ないよ陽翔くん……!」

「女の子一人で夜道歩かせるなんて無理無理!俺が送る!」

「ありがとう……」

「……俺も送っていく」

「は?颯真逆方向じゃん。もういいって、帰れよ」
「俺が送るって言ってんだよ」

「はいはい、じゃあもう!3人で歩く!?それなら文句ないでしょ!」

颯真は無言で頷くが、明らかに不機嫌。

結局颯真は門限で先に帰る。

ーその後、橘と澪、二人きりー

「今日は楽しかったね!」

「うん!陽翔くん、誘ってくれてありがとう!」

「俺が遊びたかったからさ!……でさ」

陽翔がふと足を止める。

「澪……俺、澪のことが好きなんだ」

「え……っ?」

「颯真が澪のこと好きなのも知ってる。でも、それでも俺は負けたくない。
俺も本気で、澪の彼氏になりたいと思ってる」

「わ、わかった……が、頑張って……?」

「家、ここ?」

「うん……送ってくれてありがとう」

「うん!次は花火大会で会おうな!楽しみにしてる!」

ー家の中ー

「え?どういうこと……陽翔くんも私のこと……?
颯真も……でしょ?」

「人生の、モテ期……?!」

「もう、わかんないよぉ〜〜〜!!」