「そうだね、神社行こうか」

 少し歩いて、神社に向かった。
 門をくぐって、神社への階段を登る。

「ここってなんて神社だっけ?」

「なんか、出会いをもたらす神様がいる……みたいなのは聞いたことあるけど」

 手をつなぎながら、ゆっくりと階段を登る。
 やっと神社が見えてきて、花火が見える位置に移動した。

「……楽しかったなぁ」

 優しく微笑む明日香の横顔が、神社のぼんやりとした明かりに照らされる。

「同級生には鉢合わせするだろうと思ってたんだけど、清春が買ってくれたお面が役に立ったね」

「その代わり、食べ物が食べにくかったけどね」

「ラムネ、おいしかったなぁ。また来年も買いたい」

「来年も行こう」

「うん、絶対だからね?」

 他愛のない話をしながら、屋台で賑わっている方を見た。
 沢山の人が、眩しいくらいの笑顔を浮かべている。

 ……もう少しで、夏祭りが終わる。

 花火が終わったら、右手にある温もりを離さなきゃいけないと思うと、少し寂しい。

(多分、夏祭りが終わったら、しばらく会えないだろうしなぁ)

 ふぅ、と溜息をつくと、隣から「ねぇ」と声が聞こえた。

「どうしたの? 明日香」

 明日香の顔を見ると、今までで見たことのない、本当に幸せそうな笑顔で口を開いた。

「今まで夏祭りって、友だちと行ってなんとなく楽しむだけだったけど……清春と一緒だったら、いつもの二倍も三倍も楽しかった。

 しかも楽しいだけじゃなくて、ドキドキして、嬉しくなって、幸せだなぁって思って……ええっと、だから、清春と来て本当に良かったなって思ってる」

 ぎゅっと、心を鷲掴(わしづか)みされたかのような感覚になった。
 どくどくと心臓の音が早くなって……

 ヒュー…………