隣でむせる声がして、慌てて背中をさすった。

「っごめん、気管に入った」

「大丈夫?」

 息が整って、ラムネに蓋をする明日香。

「おいしかったけど、飲み慣れないからむせた……」

 しゅん、と少し落ち込んだような声に、胸がきゅう、と鳴る。

「つ、次はどうす――」

 赤くなった顔を見られないように、明日香から目線を外した時。

「!?」

 すぐに、視線を戻した。

「清春? どうしたの?」

 不思議そうな顔で僕を見る明日香。

「今、同級生いた」

「えっ?」

「翔太と凪と、南さんたちもいた」

 どうしよう、バレないようにしたいけど……あっ!

「明日香、ちょっとまってて」

「? ……わかった」

 走ってお面の屋台へ行き、色違いの(きつね)のお面を買う。
 そして、また明日香のいる方へ戻った。

「明日香! コレつけて」

「お面……あ、そっか! 顔わからなくなるもんね」

「これで見られても大丈夫だと思うし、このまま屋台まわろう」

 どちらからともなく、手を繋ぐ。

 射的、ヨーヨー釣り、くじ、焼き鳥、きゅうり……沢山の屋台をまわって、辺りも暗くなった頃。

「……そろそろ、花火見る場所行く?」

 明日香がお面をずらして、ラムネを飲みながら僕に聞く。