”神社横の日陰!”

 ”了解”

 明日香と会うのが楽しみで、思わず口角が上がる。
 だけど、明日香とのお出かけで、少し不安なことと言えば。

(浴衣が暑いし……それに……)

 そう、今僕はしじら織りの浴衣を着ている。
 本当は浴衣なんて着る予定なかったんだけど、姉のれーちゃんが「何!? 彼女と夏祭り行くの!?」って面白がって色々されたんだよなぁ。

 ……あと、同級生と会った時、どうしよう。
 見つかったら、絶対からかわれるよね。明日香は、そういうの嫌だろうし。

 うーん、と考えていると「清春!」と明日香の声が聞こえた。

「あ、明日香……!?」

 声のした方を向いた瞬間、思わず息を飲んだ。
 明日香が黒と白が地の椿の浴衣を着て、髪の毛がアレンジされてる。

「……おまたせ」

 恥ずかしそうにしながら僕を見た。

「~~はぁ……」

「え? どうしたのっ?」

 僕が腕で目を(おお)うと、珍しく明日香が慌てたような声をした。

「びっくりした。浴衣着てくると思ってなかった」

「こっちの台詞だよ。私も清春が浴衣着てくるの想定外だった」

「かわいい、髪の毛もちょっと違う?」

「……そうだよ」

 顔を赤くして、ぷいっとそっぽを向く明日香。
 え、いつも以上に「かわいい」が溢れてる気がするのは僕だけかな?

「……清春もそれ、似合ってる」

「あ、ありがとう」

 二人で見合って、ふっと笑みをこぼす。

「じゃあ、どこ行こっか」

「暑いし、冷たいものがいいよね?」