帰り道、薔薇色に染まったのは


「できるよ、めんどくさいからしないだけで」

「ええ~……! もったいなくて、僕一生食べられないかも……!」

「いや食べてよ」

 二人で笑い合う。
 そしたら清春がハッと鞄の中をあさり始めた。

「えっと……僕も明日香にプレゼントがあって……」

 「はい!」と小さな袋を差し出してくる。

「……あれ? これなに?」

「え? 今日誕生日(・・・)でしょ?」

 清春が不思議そうに首をかしげる。

(? ……あっ!)

「あ~……そっ、か。誕生日だもんね」

「え、忘れてたの?」

「忘れてたって言うか、誕生日がバレンタインだから、毎回プレゼントが友チョコだったんだよね。チョコ以外のプレゼントってあんまりないから……開けていい?」

「もちろん!」

 私は丁寧に袋を開けて、中身を見る。

「――かわいぃ……」

 薄い赤の薔薇(ばら)のイヤリングが、コロンと手に落ちてくる。

「その、前メールで好きなもの聞いたら”アクセサリー”って返ってきたし、れーちゃん――姉ちゃんに色々聞いて……」

 じわりと胸に温かいものが広がっていく。

「……明日香? どうしたの?」

 黙っていたからか、清春が心配そうに私を覗き込む。

「ううん、好きな人からのプレゼントってこんなに嬉しいんだなぁと思って」