1度、遥海くんと別れて練習開始時間まで構内のカフェで時間を潰した。
1年生は準備時間もあるから早めに集合するらしい、まあその辺は私でもわかる。
だいぶ秋も深まってきて夕方からは少し寒くなってきた。
上着をはおり体育館へ向かう。
体育館の2階には他の部活やトレーニングルーム、観客席も何人か埋まっていた。
(バスケだけじゃないんだ……)
見学に来たときは上を見る余裕はなかったけど結構賑やかだった。
さくらはバスケ部が見える位置に座った。
男子バスケ部だけでも4学年で50人近くいた。
(凄い人数……)
これだけの中でレギュラーになるには大変だ。
ベンチ入りするだけでも1年では中々入れないだろう……
すぐ遥海くんを見つけることが出来た。
シュートの姿勢、走り方は何回かは見たことある。
(フォームが綺麗なんだよなー)
高校時代に高くて目立っていた身長も全国から集められた選手の中では遥海くんの188cmは飛び抜けて大きな方ではない。
でもまた遥海くんのプレーが見られるとは思わなかった。
遥海くんの進学先を知ってもしかして会えるかもとは思っていたけど、自分が部活には入らなかったから知り合えるとは思ってなかった。
それが今、家にまで来てるなんて……
カフェでの出会いがなかったら遠くから見てるだけだったんだろうな……
1時間ほど練習を見ていて、体育館はやっぱり肌寒くトイレに行って戻ってくると誰かが怪我をしていた。
(遥海くん!?)
選手が集まっていてよく見えないけど、シューズが遥海くんのに見えるのだ。
高校の時のシューズでそろそろ変えなきゃと来る時に話していたところだったのだ。
滑り出したとも話していた。
痛そうに顔を歪めている遥海くんと目が合った。
そして外にと指を指したからさくらは体育館から出た。



