「なんか、落ち着き払った子がさ、二人のときだけ甘えてくれたら・・・・・・って、最高じゃね!?」
「このクラスだと、野上かな?」
「いや・・・・・・もう普通に野上はイケメンすぎだろ」
「いや、よく見ろよ?切れ長だけど、目ーすっごいでかいだろ?それに、女子たちが騒いでる通り、ギャップもある」
「・・・・・・お前超よく見てんじゃん」
「人並みだよ、ヒトナミ!別に、好意抱いてるとかじゃ・・・・・・」
時たま地獄耳と評価される耳が、男子二人の会話を拾う。
机に伏せていた顔を起こし、男子二人を軽く睨む。
『目がでかい』『ギャップ』そんな声にすら苛立ちを覚える。
うるさい。それくらい知ってる。そう脳内で繰り返しているものの、会話の内容に頷きそうになった自分に腹が立った。
そもそも、あの二人と比べて俺は“幼馴染”という特別な立ち位置だ。
甘えられたいなんて・・・・・・別に思ってないし。
そんな、ただの幼馴染に、普通そんな感情持たないだろ。
まぁ、登校中好きなものとか言ったのは冗談・・・・・・のはずだし。
「実萌・・・・・・帰ろ」
「うんっ・・・・・・!昨日ね、キーホルダー・・・・・・作ってたんだ。
お母さんにね、一ヶ月で本の推しカプのキーホルダー作ったら、数少ない推しのグッズを、しかも高いやつ、買ってくれるって!」
・・・・・・すごいカップリング愛のお母さんだな、実萌んとこは。
力説する実萌は、どこかふらついているように見える。
ふらり
まっすぐ倒れた実萌に、とっさに腕を伸ばして体を支える。
「っ実萌!」
「あ・・・・・・うぅ・・・・・・だい、じょ・・・・・・ぶ・・・・・・だから。だっ・・・・・・い、じょう、ぶだよ・・・・・・ねっ・・・・・・?」
意識が朦朧としているのか、いつもの笑みも、柔らかい言葉遣いも、大分弱々しくなっていた。
そんななか必死に大丈夫だからと繰り返す実萌には痛々しさが隠せないほどあり、自分の不甲斐なさを呪うしかなかった。
「実萌、帰るぞ」
「だっ、だいじょ・・・・・・ぶ!ある、いて・・・・・・かえ、れる・・・・・・っ!」
必死で腕から下りようとする実萌に、つい子供っぽく不満をあらわにしてしまう。
「なんでダメなんだよ」
あ・・・・・・なにやってんだろ、俺・・・・・・病人、しかもお人好しの実萌相手に・・・・・・。
言ってから後悔を募らせる。
絶対、こんな強い口調で言われたら、実萌は・・・・・・。
「ごっ、ごめん、なさ・・・・・・い。伝染っ、たら・・・・・・よく、ないから・・・・・・」
思った通り、たどたどしく、身を縮こませながら俯く実萌は涙声で、慌てて取り消すように言葉を並べた。
「べ・・・・・・別に怒ってないし・・・・・・それに、風邪とかひかねーし、大丈夫」
「でっ、でも・・・・・・お、おも、い・・・・・・でしょう・・・・・・?」
抱えあげているせいで潤んだ瞳を直視してしまい、一瞬言葉が出なくなった。
「・・・・・・大丈夫、重くないし。これくらい平気!つーかどんだけひ弱だと思ってんだよ、はぁ・・・・・・」
まぁそう思われてるくらい、知られてなかったってことか・・・・・・。
はぁ、どうしたら分かってもらえるんだか・・・・・・。
「な、ら・・・・・・」
「ん?」
「おこ、とばに・・・・・・あまえ、ます・・・・・・っ」
相当恥ずかしいのか下を向きながらしがみついてくる実萌。
「別に大丈夫だし」
これが病人じゃなかったら、いつもの皮肉くらい出てくるはずだし・・・・・・実萌が病気だから、優しくしてるだけ。
別に・・・・・・俺がこんな悩んだ分は、オタクっぷり晒して取り返してやるから、覚悟してろ。
「このクラスだと、野上かな?」
「いや・・・・・・もう普通に野上はイケメンすぎだろ」
「いや、よく見ろよ?切れ長だけど、目ーすっごいでかいだろ?それに、女子たちが騒いでる通り、ギャップもある」
「・・・・・・お前超よく見てんじゃん」
「人並みだよ、ヒトナミ!別に、好意抱いてるとかじゃ・・・・・・」
時たま地獄耳と評価される耳が、男子二人の会話を拾う。
机に伏せていた顔を起こし、男子二人を軽く睨む。
『目がでかい』『ギャップ』そんな声にすら苛立ちを覚える。
うるさい。それくらい知ってる。そう脳内で繰り返しているものの、会話の内容に頷きそうになった自分に腹が立った。
そもそも、あの二人と比べて俺は“幼馴染”という特別な立ち位置だ。
甘えられたいなんて・・・・・・別に思ってないし。
そんな、ただの幼馴染に、普通そんな感情持たないだろ。
まぁ、登校中好きなものとか言ったのは冗談・・・・・・のはずだし。
「実萌・・・・・・帰ろ」
「うんっ・・・・・・!昨日ね、キーホルダー・・・・・・作ってたんだ。
お母さんにね、一ヶ月で本の推しカプのキーホルダー作ったら、数少ない推しのグッズを、しかも高いやつ、買ってくれるって!」
・・・・・・すごいカップリング愛のお母さんだな、実萌んとこは。
力説する実萌は、どこかふらついているように見える。
ふらり
まっすぐ倒れた実萌に、とっさに腕を伸ばして体を支える。
「っ実萌!」
「あ・・・・・・うぅ・・・・・・だい、じょ・・・・・・ぶ・・・・・・だから。だっ・・・・・・い、じょう、ぶだよ・・・・・・ねっ・・・・・・?」
意識が朦朧としているのか、いつもの笑みも、柔らかい言葉遣いも、大分弱々しくなっていた。
そんななか必死に大丈夫だからと繰り返す実萌には痛々しさが隠せないほどあり、自分の不甲斐なさを呪うしかなかった。
「実萌、帰るぞ」
「だっ、だいじょ・・・・・・ぶ!ある、いて・・・・・・かえ、れる・・・・・・っ!」
必死で腕から下りようとする実萌に、つい子供っぽく不満をあらわにしてしまう。
「なんでダメなんだよ」
あ・・・・・・なにやってんだろ、俺・・・・・・病人、しかもお人好しの実萌相手に・・・・・・。
言ってから後悔を募らせる。
絶対、こんな強い口調で言われたら、実萌は・・・・・・。
「ごっ、ごめん、なさ・・・・・・い。伝染っ、たら・・・・・・よく、ないから・・・・・・」
思った通り、たどたどしく、身を縮こませながら俯く実萌は涙声で、慌てて取り消すように言葉を並べた。
「べ・・・・・・別に怒ってないし・・・・・・それに、風邪とかひかねーし、大丈夫」
「でっ、でも・・・・・・お、おも、い・・・・・・でしょう・・・・・・?」
抱えあげているせいで潤んだ瞳を直視してしまい、一瞬言葉が出なくなった。
「・・・・・・大丈夫、重くないし。これくらい平気!つーかどんだけひ弱だと思ってんだよ、はぁ・・・・・・」
まぁそう思われてるくらい、知られてなかったってことか・・・・・・。
はぁ、どうしたら分かってもらえるんだか・・・・・・。
「な、ら・・・・・・」
「ん?」
「おこ、とばに・・・・・・あまえ、ます・・・・・・っ」
相当恥ずかしいのか下を向きながらしがみついてくる実萌。
「別に大丈夫だし」
これが病人じゃなかったら、いつもの皮肉くらい出てくるはずだし・・・・・・実萌が病気だから、優しくしてるだけ。
別に・・・・・・俺がこんな悩んだ分は、オタクっぷり晒して取り返してやるから、覚悟してろ。


