「も、もしかして、取り憑くってまずいことでもあるの?」
「そういうのは、実験を始める前に聞けよ」
三島が呆れるもんだから、少し不安になる。
ユウくんも、眉をひそめていた。
「まさか、藍が危ない目にあったりするのか? それなら、二度と取り憑いたりしないからな」
どうなんだろう。私も、危険だって言われたら躊躇するかも。
「いや。藤崎が、取り憑かれても嫌だと思わないなら、多分大丈夫だ」
「どういうこと?」
「普通は、取り憑かれると体力を凄く奪われるんだよ。怪談でも、幽霊に取り憑かれたせいで体調が悪くなるって話はよくあるだろ」
「う、うん。でも、私がさっきユウくんに取り憑かれた時は、別に何ともなかったよ?」
疲れた感じはしなかったし、今もピンピンしてる。
すると三島は、その疑問もちゃんと答えを用意してくれていた。
「体力が無くなるのは、取り憑いた霊を追い出そうとする体の防衛本能が働くせいなんだ。けど、取り憑かれた本人がそれを嫌だとか追い出そうとか思ってなければ、防衛本能が働くこともないから、体調が悪くなることもない」
「そうなんだ」
そんなこと知ってるなんて、さすが霊感少年。
そして、今の話を聞いてホッとする。
「じゃあ、私がユウくんに取り憑かれるのを嫌だと思わなければ、問題無いんだね」
「まあ、そうなるな。だから言っただろ、藤崎が嫌だと思わなければ大丈夫だって」
あれって、そういう意味だったんだ。だったら一安心。
って思ったんだけど、そこで三島はまた呆れた顔をする。
「普通は大丈夫じゃないんだけどな。幽霊が自分の体の中に入ってきて、勝手に動かされるんだぞ。そんなの、嫌って思うのが普通じゃないか」
「あっ、確かにそうかも」
言われてみれば、もし知らない誰かに取り憑かれるなんてことになったら、絶対嫌。そんなの、何をされるかわからない。
「けど、ユウくんなら安心だね。取り憑いても、私が嫌がるようなことはしないでしょ」
「もちろん。それに、出ていけと言われたらすぐに出ていく」
やっぱり。
ユウくんがそんな人だってわかってるから、取り憑かれてもいいって思うんだよ。
「けどよ。だからって無理に取り憑くことはないんじゃないか。先輩は、特に何か食べたいものがあるってわけでもないんだろ」
「まあな」
う〜ん、ユウくんが乗り気じゃないなら、確かにそうかも。
けど食べる以外にも、私の体を使えばできそうなことって、たくさんありそうなんだよね。
「ユウくんは、取り憑けたらやってみたいことってない?」
「やりたいこと、か……」
これでユウくんがないって言うなら、取り憑く実験はお終いにしよう。
ユウくんは、少しの間なにも言わずに、じっと考えてるみたいだった。
そして、ゆっくりと口を開く。
「まあ、無いわけじゃないな」
「本当!? それじゃあ、やってみようよ」
その一言で、私の気持ちは決まった。
ユウくんにやりたいことがあるなら、力になってあげたかった。
「本当にいいのか?」
「もちろん。私の体でよければ、いくらでも取り憑いていいから」
そんな私たちのやり取りを見て、三島は微妙な顔をするけど、特に止めたりはしなかった。
ただ、遠い目をしながらボソッとこう呟いた。
「俺だったら、幽霊に取り憑かれて体を好き勝手動かされるのなんて絶対いやだけどな。あんなの、もう懲り懲りだ」
もしかして三島、実際に幽霊に取り憑かれたことがあるのかな。霊感があるって、大変なんだ。
と、とにかく、これでユウくんが私に取り憑いてみるのは決まった。
まずは、私の後ろにユウくんが立つ。
あとはこのままゆっくりと距離を詰めていって、ユウくんが私の体と重なったら、無事取り憑けるはず。
「じゃあ、いくよ」
「うん。いつでもいいよ」
後ろでユウくんの声が聞こえてくる。それから、ゆっくり近づいてくる気配を感じた。
「そういうのは、実験を始める前に聞けよ」
三島が呆れるもんだから、少し不安になる。
ユウくんも、眉をひそめていた。
「まさか、藍が危ない目にあったりするのか? それなら、二度と取り憑いたりしないからな」
どうなんだろう。私も、危険だって言われたら躊躇するかも。
「いや。藤崎が、取り憑かれても嫌だと思わないなら、多分大丈夫だ」
「どういうこと?」
「普通は、取り憑かれると体力を凄く奪われるんだよ。怪談でも、幽霊に取り憑かれたせいで体調が悪くなるって話はよくあるだろ」
「う、うん。でも、私がさっきユウくんに取り憑かれた時は、別に何ともなかったよ?」
疲れた感じはしなかったし、今もピンピンしてる。
すると三島は、その疑問もちゃんと答えを用意してくれていた。
「体力が無くなるのは、取り憑いた霊を追い出そうとする体の防衛本能が働くせいなんだ。けど、取り憑かれた本人がそれを嫌だとか追い出そうとか思ってなければ、防衛本能が働くこともないから、体調が悪くなることもない」
「そうなんだ」
そんなこと知ってるなんて、さすが霊感少年。
そして、今の話を聞いてホッとする。
「じゃあ、私がユウくんに取り憑かれるのを嫌だと思わなければ、問題無いんだね」
「まあ、そうなるな。だから言っただろ、藤崎が嫌だと思わなければ大丈夫だって」
あれって、そういう意味だったんだ。だったら一安心。
って思ったんだけど、そこで三島はまた呆れた顔をする。
「普通は大丈夫じゃないんだけどな。幽霊が自分の体の中に入ってきて、勝手に動かされるんだぞ。そんなの、嫌って思うのが普通じゃないか」
「あっ、確かにそうかも」
言われてみれば、もし知らない誰かに取り憑かれるなんてことになったら、絶対嫌。そんなの、何をされるかわからない。
「けど、ユウくんなら安心だね。取り憑いても、私が嫌がるようなことはしないでしょ」
「もちろん。それに、出ていけと言われたらすぐに出ていく」
やっぱり。
ユウくんがそんな人だってわかってるから、取り憑かれてもいいって思うんだよ。
「けどよ。だからって無理に取り憑くことはないんじゃないか。先輩は、特に何か食べたいものがあるってわけでもないんだろ」
「まあな」
う〜ん、ユウくんが乗り気じゃないなら、確かにそうかも。
けど食べる以外にも、私の体を使えばできそうなことって、たくさんありそうなんだよね。
「ユウくんは、取り憑けたらやってみたいことってない?」
「やりたいこと、か……」
これでユウくんがないって言うなら、取り憑く実験はお終いにしよう。
ユウくんは、少しの間なにも言わずに、じっと考えてるみたいだった。
そして、ゆっくりと口を開く。
「まあ、無いわけじゃないな」
「本当!? それじゃあ、やってみようよ」
その一言で、私の気持ちは決まった。
ユウくんにやりたいことがあるなら、力になってあげたかった。
「本当にいいのか?」
「もちろん。私の体でよければ、いくらでも取り憑いていいから」
そんな私たちのやり取りを見て、三島は微妙な顔をするけど、特に止めたりはしなかった。
ただ、遠い目をしながらボソッとこう呟いた。
「俺だったら、幽霊に取り憑かれて体を好き勝手動かされるのなんて絶対いやだけどな。あんなの、もう懲り懲りだ」
もしかして三島、実際に幽霊に取り憑かれたことがあるのかな。霊感があるって、大変なんだ。
と、とにかく、これでユウくんが私に取り憑いてみるのは決まった。
まずは、私の後ろにユウくんが立つ。
あとはこのままゆっくりと距離を詰めていって、ユウくんが私の体と重なったら、無事取り憑けるはず。
「じゃあ、いくよ」
「うん。いつでもいいよ」
後ろでユウくんの声が聞こえてくる。それから、ゆっくり近づいてくる気配を感じた。


