授業がある間、ユウくんは邪魔になるといけないからって言って、基本的に別行動をとることになったんだ。
そして放課後になると、いよいよ部活の時間だ。
三島と一緒に部室に行くと、ユウくんが一人で待っていた。
「顧問の先生、今日もいないの?」
「ああ。けっこう前からここにいたけど、来たのは藍たちがはじめてだ」
「じゃあ、やっぱり一度職員室に行くしかないか」
部室の黒板には、昨日と変わらず、『軽音部へ入部希望の方は職員室まで』と書かれていた。
「まあ顧問って言っても、俺達がいた頃は、ほとんど好き勝手やってたけどな」
三人で職員室に向かう途中、ユウくんがそう言う。
「そうなの? 色々教えてくれたんじゃないの?」
「いいや。先生はたまに様子を見に来るくらいだったな」
「そうなのかよ。随分と自由なんだな」
そんなことを話しながら職員室の前につくけど、まだ学校に慣れていない今、入るのは少し緊張する。
「俺の姿が他の人にも見えるなら、二人のかわりに話を聞いてやれたんだけどな」
ユウくんはそう言うけど、それに対して三島が言う。
「今部員やってるのは俺たちだろ。こんなことで、いちいち先輩を頼る気はねえよ」
確かに、何でもかんでもユウくんに頼るのは違うかなって思う。
けどそれを聞いたユウくんは、話の本題よりも気になることがあったみたい。
「先輩って、俺のことか?」
「悪いかよ。あんた、一応この学校の先輩なんだからな」
「先輩か。俺のいた頃は後輩の部員はいなかったから、なんだか新鮮だな」
先輩って呼ばれて、ユウくん満更でもないみたい。
「じゃあ私も、これからは先輩って呼んだ方がいいのかな?」
「藍に先輩って呼ばれるのも変な感じだし、別に今まで通りでいいよ」
「二人とも、そんなことより、さっさと中に入るぞ」
話がどんどん脇道に逸れそうになったところで、三島がストップをかける。
そうだった。早く職員室に入らないと。
ドアを開け中に入ると、若い男の先生が声をかけてくる。
「君たち新入生? 何か用かな?」
「あの、私たち軽音部に入部したいのですが」
「軽音部? ああ、あそこか」
どうやら、これだけで事情を察してくれたみたい。さらに、こんなことを言う。
「ちょうどよかった。実は今、うちの卒業生で、元軽音部員だった子がやってきてるんだ。部員がゼロになったって聞いて、それなら部活紹介や新入部員の勧誘を手伝わせてほしいって言ってるんだよ」
「本当ですか!?」
そんな人がいるなら心強い。それから先生は一度席を立って、職員室の隅にいた、一人の女の人を連れてきた。
「あなたたち、入部希望者なの? よかった。このままじゃ部員ゼロで軽音部が無くなるかもしれないって聞いて、心配してたのよね」
その人は、私と三島を見るなり、目を輝かせる。
けどその時、隣にいたユウくんが呟いた。
「大沢!?」
ユウくんの声は私と三島にしか聞こえないから、その人には届かない。
けど、ユウくんこの人のことを知ってるの?
「私、大沢泉って言うの。今は高校三年生で、この学校似通っていた三年間は、軽音部に入ってたのよ」
自己紹介をする大沢さん。それを聞いて、ようやく気づく。
高校三年生ってことは、ユウくんが生きていたら同い年。しかも、軽音部に入ってたってことは……
「ユウくんと一緒に演奏してた、ドラムの人!」
ずっと昔、この学校の文化祭に来て、ユウくんの演奏するステージを見た時のことを思い出す。
大沢さんは、ユウくんが生きてた頃の、軽音部のメンバーだったんだ!
私がいきなり叫んだものだから、大沢さんは目を丸くする。恥ずかしくなって慌てて口を押さえたけど、今度は大沢さんがハッとしたように言う。
「ユウくんって、有馬優斗くんのこと? あなた、もしかして藍ちゃんなの?」
「えっ!?」
どうして私のこと知ってるの?
驚く私の横で、ユウくんがなんだか嬉しそうに笑っていた。
そして放課後になると、いよいよ部活の時間だ。
三島と一緒に部室に行くと、ユウくんが一人で待っていた。
「顧問の先生、今日もいないの?」
「ああ。けっこう前からここにいたけど、来たのは藍たちがはじめてだ」
「じゃあ、やっぱり一度職員室に行くしかないか」
部室の黒板には、昨日と変わらず、『軽音部へ入部希望の方は職員室まで』と書かれていた。
「まあ顧問って言っても、俺達がいた頃は、ほとんど好き勝手やってたけどな」
三人で職員室に向かう途中、ユウくんがそう言う。
「そうなの? 色々教えてくれたんじゃないの?」
「いいや。先生はたまに様子を見に来るくらいだったな」
「そうなのかよ。随分と自由なんだな」
そんなことを話しながら職員室の前につくけど、まだ学校に慣れていない今、入るのは少し緊張する。
「俺の姿が他の人にも見えるなら、二人のかわりに話を聞いてやれたんだけどな」
ユウくんはそう言うけど、それに対して三島が言う。
「今部員やってるのは俺たちだろ。こんなことで、いちいち先輩を頼る気はねえよ」
確かに、何でもかんでもユウくんに頼るのは違うかなって思う。
けどそれを聞いたユウくんは、話の本題よりも気になることがあったみたい。
「先輩って、俺のことか?」
「悪いかよ。あんた、一応この学校の先輩なんだからな」
「先輩か。俺のいた頃は後輩の部員はいなかったから、なんだか新鮮だな」
先輩って呼ばれて、ユウくん満更でもないみたい。
「じゃあ私も、これからは先輩って呼んだ方がいいのかな?」
「藍に先輩って呼ばれるのも変な感じだし、別に今まで通りでいいよ」
「二人とも、そんなことより、さっさと中に入るぞ」
話がどんどん脇道に逸れそうになったところで、三島がストップをかける。
そうだった。早く職員室に入らないと。
ドアを開け中に入ると、若い男の先生が声をかけてくる。
「君たち新入生? 何か用かな?」
「あの、私たち軽音部に入部したいのですが」
「軽音部? ああ、あそこか」
どうやら、これだけで事情を察してくれたみたい。さらに、こんなことを言う。
「ちょうどよかった。実は今、うちの卒業生で、元軽音部員だった子がやってきてるんだ。部員がゼロになったって聞いて、それなら部活紹介や新入部員の勧誘を手伝わせてほしいって言ってるんだよ」
「本当ですか!?」
そんな人がいるなら心強い。それから先生は一度席を立って、職員室の隅にいた、一人の女の人を連れてきた。
「あなたたち、入部希望者なの? よかった。このままじゃ部員ゼロで軽音部が無くなるかもしれないって聞いて、心配してたのよね」
その人は、私と三島を見るなり、目を輝かせる。
けどその時、隣にいたユウくんが呟いた。
「大沢!?」
ユウくんの声は私と三島にしか聞こえないから、その人には届かない。
けど、ユウくんこの人のことを知ってるの?
「私、大沢泉って言うの。今は高校三年生で、この学校似通っていた三年間は、軽音部に入ってたのよ」
自己紹介をする大沢さん。それを聞いて、ようやく気づく。
高校三年生ってことは、ユウくんが生きていたら同い年。しかも、軽音部に入ってたってことは……
「ユウくんと一緒に演奏してた、ドラムの人!」
ずっと昔、この学校の文化祭に来て、ユウくんの演奏するステージを見た時のことを思い出す。
大沢さんは、ユウくんが生きてた頃の、軽音部のメンバーだったんだ!
私がいきなり叫んだものだから、大沢さんは目を丸くする。恥ずかしくなって慌てて口を押さえたけど、今度は大沢さんがハッとしたように言う。
「ユウくんって、有馬優斗くんのこと? あなた、もしかして藍ちゃんなの?」
「えっ!?」
どうして私のこと知ってるの?
驚く私の横で、ユウくんがなんだか嬉しそうに笑っていた。


