帰り道、手のひらをぎゅっと

 明日香の家に着いて、しぶしぶ繋いでいた手を離す。

(……もう少し、繋いでたかったなぁ)

 僕は、(さび)しさを隠すように俯いた。
 だけど「清春」と明日香に名前を呼ばれて、パッと顔を上げる。

「……ん」

 明日香が両手を広げる。
 僕はすぐにその行動の意味がわかって、「え」と動揺(どうよう)した声を漏らした。

「――嫌だった?」

 めずらしく明日香が少し悲しそうな顔をする。
 慌てて「ちがう!」と言う。

「じゃあどうぞ」

 余裕な笑みを浮かべながら両手を広げている明日香。
 その姿に胸が高鳴りつつも、僕はなんだか悔しくなって、ぐいっと明日香の腕を引いた。

「っ!?」

 そのままぎゅうっと抱きしめる。
 明日香は驚きながらも、僕の背中に手を回す。


 ……この後こっそり明日香の顔を見たら、顔が耳まで真っ赤になっていた。


 明日香に「見ないで」と軽く叩かれたけど、しっかり意識してもらえてるんだなぁと思うと、すごく幸せな気持ちになった――。