帰り道、手のひらをぎゅっと

「気づかなかったけど、こんな事するのは清春くらいだなーと思って」

明日香(あすか)の驚く顔が見たかったのに~!」

 悔しそうに笑う清春に、クスリと笑みがこぼれる。
 そのまま立ち上がって、「じゃあ、行こっか」と二人で帰路へと歩き出す。

「外でずっと待ってたの? 寒くなかった?」

「うーん、別に寒くはなかったけど、手袋持ってくればよかったかな。身体はあったかいのに手がガチガチだよ」

 そう言って、私ははぁ~っと手に息を吐く。
 清春はあからさまに眉を下げたあと、少し顔を赤くして私を見た。

「…………じゃあ、手、繋ぐ……?」

 ……え?
 一瞬、思考が停止した。

「っ……ぃや、手が冷たいんなら、手を繋いだほうが温かいんじゃないかな……と思って…………というか、僕が繋ぎたい……かな」

 ドキッと胸が跳ねた。
 付き合ってから学校で二人でご飯を食べることはあっても、恋人らしいことはほぼしなかった。

 そう思うと……胸の奥が、多幸感に包まれる。

 少し恥ずかしく思いつつも、それがバレないように清春の目を見て答える。

「――うん。いいよ」

 微笑みながら言うと、清春はぱぁっと顔を輝かせた。
 そして、そっと手を繋ぐ。

「……あったかいね」

 清春がえへっと嬉しそうに笑った。


 ――この後、ほぼ会話はなかったけど、寒さを忘れてしまうほど……幸せなひとときだった。


    *    *