帰り道、手のひらをぎゅっと

 ――季節は冬。

 雪がちらちらと降り積もる中、私は弦音(つるね)の鳴り(ひび)く弓道場の近くをウロウロしていた。
 寒くてマフラーに顔を(うず)めながら、弓道場の方を見る。

(まだか……)

 スマホに通知が来てないことを確認して、一度ポケットへ入れようとした瞬間。

 ピコン!

「ぅわッ!」

 つるっと手が(すべ)り、地面にスマホが落ちた。
 やばっ! っとすぐにしゃがんで、壊れていないか確認する。

(やってしまった……。画面は――よかった、無事だ)

 ホッと息を吐いて、通知を確認すると――。

 ”部活終わったよ! 今どこにいるの?”

 というメッセージと一緒に、可愛らしい犬が尻尾(しっぽ)を振ってニコニコしているスタンプが送られてきた。

(かわいい……)

 私は思わずクスッと笑って、しゃがんだままメッセージを打つ。

 ”了解。弓道場前。”

 私が送信ボタンを押してすぐに、”OK!”と返ってきた。
 それが嬉しくて、無意識に口角が上がる。

「――明日香っ!」

 ……と同時に、肩をぽんっと叩かた。
 私は内心驚いたけど、平静を装って振り返り、微笑みかける。

「部活お疲れ様、清春(きよはる)

 私をみて、「ありがと」と照れくさそうに笑い返してくれた彼は、七海 清春。
 ……中学生になって付き合った、私の彼氏だ。

「ていうか、後ろにいたのバレてたの?」