さっちゃんの足跡

 次の時間、今度は先生が見慣れない物を持ってきました。 「いいか。 みんなに渡す物が有るんだ。」
それが鍼箱と鍼管。 鍼箱は鍼管と鍼を入れておく道具です。
それと消毒器。 これには手を消毒するための綿花を入れておきます。 これからが大変だなあ。
 そして先生は一人一人に鍼を手渡すのです。 「いいか。 この頭を持つんだぞ。」
石谷先生は全盲だから助手の人が付いてます。 植木香苗さん。
 「さっちゃんも鍼を持ってみて。」 「こう?」
それを見た植木さんは大爆笑。 「さっちゃん それは反対だよ。」
 持ち手である竜頭を引っ繰り返します。 鍼先が上を向いてたら危ないでしょう?
植木さんに教えてもらいながらさっちゃんも鍼を持ち直します。 「鍼先もちゃんと確認してね。」

 学校で使う鍼は銀 一寸三分。 略して銀寸三。
実際の治療では一寸とか一寸六分とか、はたまた八分なんて鍼を使っている人も居るとか、、、。
 兎にも角にも今は鍼を持って鍼管に入れて自分の足に痛くなく刺せるようになることがテーマ。
痛かったら仕事なんか出来ないからねえ。 やらなきゃ大変だあ。
 というわけでさっちゃんも朝から揉んだり刺したりを繰り返す毎日がこれから始まるのです。
ああ大変そうだなあ。 教科書を読みながら溜息を吐いたさっちゃん。
 隣のおじさんは教科書を睨みながら「絶対に免許を取るんだぞ。」って自分に言い聞かせています。 必死なんだなあ。
これから3年間、さっちゃんは何を考えていくんでしょう?