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ランプの光だけがついている部屋の中で、私は勉強机に向かっている。

勉強というのは毎日の積み重ねが大事。

特に特待生である私は、もっともっと頑張らなきゃいけない。

ピピッ。

短いアラーム音が響き、私は手を止めた。

今の時間は22時半。

外に出るためには部屋着ではなく、普段着に着替える必要がある。

私はイスから立って、着替えをするために洋服に手を伸ばした。

その後服を着替え、準備が整った私は少しだけスマホを見る。

今部屋から出たら、音で母さんが起きてしまうかもしれないからだ。

そこで、メッセージが来ていたことに気がつく。

「朝もこいつ…。しつこい」

断ったはずの相手から連絡がきていたので、少しイラ立つ。

早速メッセージを確認すると…。

「うそ…なんでバレて…!いやでも、顔隠してなかったからな…」

私は七瀬家だし、あの有名な国立校に通っている。

そんな私が、補導対象時間にうろついてるなんて知られたらまずい。

そういう理由で遊び相手の男には隠していたのに。

ピロン。

通知音が鳴ってみると、それは彼からのメッセージだった。

『隠してほしいなら、指定した場所に来ること』

送られてきた指定場所は、私が今日行こうと思っていたゲームセンターだった。

既読をつけてしまったし行くしかない。

私は部屋を出て外へ出かけて行った。

10分ほどしてゲームセンターに着いた。

「はぁ…入るしかないか」

重い足で私は中に入った。

実はこの建物には、奥の方にいろいろと闇がある。

まあ、何とは言わないけど。

あいつに指定されたのはこの奥にある個室。

私はその個室へと進んでいった。

部屋のドアを開けると、案の定瑛翔(えいと)がいた。

「少し遅かったね。まあ座りなよ」

透き通る茶色の髪と澄んだきれいな黒い瞳に、すごく整った顔でにこにこしているこの男は陸瑛翔(くがえいと)

性格は…まあいいとは言えないだろう。

私はそんな瑛翔を、少し面倒だと思っている。

私が瑛翔の隣に座ると彼は話し出した。

「たまたま君を電車の中で見つけてね。よく見ると、あのアウロラ学園の制服を着ているじゃないか、ってね」

「…そういうのいらない。あんた、それでどうしたいわけ?隠してあげるから条件守ってねってことだろ?」

少し低めの声で言うと彼は少し驚いて、にやっと笑った。

「僕と付き合って」

「は…?」

「今彼氏はいないんでしょ?フリーなら付き合ってくれるよね?」

「いや…まあ、そうだけど」

こいつにはどうも苦手意識がある。

そんな奴とは付き合うのは面倒だ。

でも、ここでノーと答えれば私の秘密はバラされる。

つまり、イエス以外の返事は存在しない。

嫌だ…こんな奴と。

その時、個室の扉が勢いよく開いた。

扉の方へ視線を送る。

するとそこにはありえない人物、黒いパーカーを着ている蜂屋くんがいた。

蜂屋くんは私は見ずに、瑛翔のことをただにらんでいた。

それに対して、瑛翔は特に気にする様子は見せなかった。

「キミ…誰?この辺の奴じゃないね」

「別に、誰だっていいだろ。それより七瀬先輩は何してんですか?」

「えっと…」

絶対引かれた。

こんな奴と絡んでるなんて、私は蜂屋くんに嫌われた。

そう思ったら頭が真っ白になって、何も答えられなくなった。

嫌だと思ってしまう。

「とりあえず七瀬先輩、俺ときて」

その言葉に反射的にうなずいてしまった。

それ見た瑛翔はキレた。

「初音とキミの関係は?勝手に連れてかないでもらっ…」

その時、蜂屋くんは瑛翔の腹部に思いっきりけりを入れた。

瑛翔は痛みから座り込んでしまう。

「先輩走って!」

蜂屋くんに手首をつかまれて、抵抗なく私は蜂屋くんと一緒に店を出て走って行った。

なぜかその時、私の世界は輝いて見えた。