あの告白の日から1週間が経った。

あの日私は寮の部屋には帰らず、カバンとスマホだけを持って涼真のところへ行った

私が来たことに驚いてたけど、何も言わずにそばにいてくれた。

1週間が経過した今もそれは変わらない。

ちなみに、文化祭の次の日から私は学校に一度も行っていない。

スマホには学園とか羽那や詠、雪那からたくさんの着信履歴がある。

まあ、どれも出てないけどね。

ヴーヴー。

また電話がかかってきて、私は画面を確認する。

どうせまた学園からだろ…と思ってみると、そこに表示されたのは「母さん」だった。

「えっ…?!」

私は驚いて声を上げた。

この1週間母さんからは連絡がなかったのだ。

でも、そりゃ母さんにも伝わっちゃうよね。

原則寮から出るには許可が必要だ。

それを破った上に、無断で学校を休んでいる。

行方不明になっているのだから、母さんに連絡がいくのはおかしくない。

私は仕方なく電話に出た。

「もしもし…」

『初音なの?!よかった…。今どこなの?無事?』

心配性な母さん。

でも、今はその優しさが嬉しいような気がする。

「大丈夫だよ。友達の家にいるだけ」

友達の家というか、クラブハウスなんだけどね。

でも、涼真はここに住んでるし友達の家…ではあるのかも。

『そう…無事ならいいわ。少し安心した』

「…ごめんね」

『ほんとよ!』

少し怒った様子を見せた母さんだったけど、すぐにくすくすと笑った。

それから、困ったように言った。

『あ、それよりね。あなたに変な疑いがかけられてるのよ…』

「変な疑い…?」

『そうなの。学園から電話があってね?初音が男と補導対象時間に遊んでたとか…』

「あ…」

思い当たることなんてたくさんあった。

すぐにバラした人物にピンときた、瑛翔だ。

「ちょっと学園に電話してみる。自分でなんとかするよ。まあ、面談とかになると思うけど…」

『…分かった。初音がそういうなら』

頑張れということなのだろう。

私は母さんにお礼を言って電話を切った。

それから私は、ずっと無視していた学園へ電話をかけた。


***


「涼真…」

私は学園に電話が終わった後、荷物をまとめて涼真に話しかけた。

「初音!どうした?」

笑顔で聞く涼真に、私は真剣な表情で言った。

「私、学園に行ってくる。今までのことがバレちゃって…」

「っ…!」

私のその言葉で、なんのことか察したのだろう。

涼真は険しい表情になった。

「それ、大丈夫なのか…?」

「うん、平気。自分でこのくらい片付けないとね。瑛翔のことは、涼真に頼っちゃったし」

瑛翔から連絡が来なくなったのは、涼真が注意をしてくれたからなのだろう。

「分かった。…なあ、それ俺もついてっていいか?」

「私、涼真は頼らないって…!」

「俺も関わりがあるだろ?着いてくだけだからさ」

きっと何も口出ししない。

今の涼真からはそれが分かった。

私は、コクンと静かにうなずいた。

「よし!ちょっと待ってろ。準備してくる」

この笑顔、久しぶりに見た気がする。

涼真まで巻き込んでしまったけど、悔いはない。

なんて思っちゃう私は最低だね。

でも、そんな涼真が好きだったんだ。

人としてだけどさ。

「ありがとね」

私はそうつぶやいて笑った。