なんだか涼真が来たことと雪那にキスされたことがあって、なかなか集中できなかった。

美羽にも心配をかけさせてしまった。

でも、私の気持ちになってみてよ。

そりゃ混乱するに決まってる。

「ただいま…」

寮部屋に帰ってきて、いつも通りに挨拶をしたけど誰もいない。

そういえば、雪那はうちあげとか言ってたっけ。

気まずかったからちょうどいいかもだけど。

だってキスされた後で、どんな態度で接したらいいか分からないもの。

とは考えながらも、やはり雪那の帰りを待っていたのかなかなか眠る気にならなかった。

けど、明日もシフトが入っている。

ミスコンだってあるし早く寝ないとなんだよね。

これ以上雪那を待つわけにもいかず、私はベッドへ入って寝た。

「雪那のバカ…」


***


次の日も慌ただしく働いた。

相変わらず七瀬初音を見に来る人ばかり。

やになっちゃうけど、利用できるものは利用していかないと人生損する。

それから午前のシフトが終わった頃、放送が入った。

『後2時間でミスコンが始まります!参加希望の生徒達は、準備を始めてくださ〜い!』

ミスコンまで残り2時間を知らせる放送だ。

2時から行われる。

それまでに、私は雪那と会う覚悟というか…決めなきゃいけない。

ミスコンが盛り上がるのは「告白」の時だ。

そんな中、私は冷静を保てるのだろうか…。

って!

これじゃまるで私が雪那を好きみやいになってるじゃん!!

そんなわけないのに。

「とりあえず準備しなきゃね」

クラスのみんなのためにも優勝したいとは思ってる。

だから、頑張らないと。

私は空き教室に入って最終確認と、衣装に着替えた。

それからは衣装に着替えてメイクをしていたら、あっという間に1時間がすぎた。

30分でシナリオの確認と、出番の確認。

開始30分前になって、私は待機室に向かった。

「さあ、みなさんお待ちかね!今年もこの時間がやってまいりましたミスコン!今年のベストペアは誰だー!?!?」

司会者の楽しそうな声が学園中に響いた。

私達には、緊張が走る。

いよいよミスコンのスタートだ。

雪那はステージの反対側にいて、よく見えない。

本番までしゃべれないと思うと不安が込み上げてくる。

でも、堂々としないと人の目はひきつけられない。

私は気分を整えた。

私達の出番は最後。

落ち着くためにも、他の人のパホーマンスをよく観察する。

みんな優勝を狙って頑張ってる。

観客はいろいろな告白の仕方に盛り上がっている。

私達はリアル感を出すためにノープランだ。

緊張するしなんだか恥ずかしいような気もするけど、やっぱり頑張らなきゃね。

私は自分の番が回ってくるまで平常心を保ち続けることができた。

そして。

「それでは最終ペア!蜂屋・七瀬ペアです!!」

私達の番が来た。

このミスコン、絶対に優勝を勝ち取ってみせる。

私が決意してステージへ上がった。