「六花、ビビりすぎだろ」
「だから言ったじゃん、怖いって」
笑われてるけど、言い返す元気もない。
「もう無理……お化け屋敷とか一生行かない……」
「夏祭り、またみんなで行こうな?」
「あれ、これより怖いよ」
「絶対行かない!」
胸に手を当てると、まだドクドクうるさい。
それを見た伊織が、くすっと笑った。
「じゃあちょっと休憩する?ちょうど中庭のほうに甘いの出てるよ」
「行く!!」
食い気味で返事をすると、みんなが一瞬だけ黙って——
「切り替え早っ」
「さすが六花」
好き勝手言われた。
「だって甘いのは別腹でしょ!」
「今の流れでそれ言えんの強すぎ」
わいわい話しながら、中庭へ向かう。
さっき渡り廊下から見えた場所だ。
近づくにつれて、甘い匂いがふわっと漂ってくる。
クレープ、ワッフル、チョコバナナ、タピオカ——
いろんな屋台が並び、どこも人で賑わっている。
「うわぁ……!」
思わず足が止まる。
「何食べる?」
「え、待って。全部美味しそうなんだけど」
視線があちこちに泳ぐ。
決められる気がしない。
「六花、こういうの絶対迷うタイプだろ」
「うっ……否定できない」


