「見てなかったのかよ!」
「俺ら、ただの校内散歩じゃん」
……探せば見つかると思ってたんだけど。
「これ、別棟じゃねーかよ!」
覗き込んできた晴の一言に、ようやく納得する。
「だから見つからなかったのかー」
別棟があるなんて、知らなかった。
「最初から見とけよー」
「そりゃ見つかんねーわ」
「ごめんってばー」
気を取り直して、今度は直樹と魁を先頭に、後ろをついていく。
「わぁ……!」
全面ガラス張りの渡り廊下に足を踏み入れた瞬間。
光が、一気に視界へ流れ込んできた。
青い空。やわらかな日差し。
胸の奥が、ふっと軽くなる。
校門から校舎へ続く広い道は、キッチンカーに並ぶ人で埋め尽くされていた。
いろんな制服の高校生たちが行き交っている。
みんな笑っていて、にぎやかで。
——私も、その中にいる。
そう思うと、嬉しくて。
でも同時に、胸のどこかにぽっかりと穴が空いたみたいな、妙な感覚が残る。
なんだろう、この気持ち。
「うわ、人すげー」
隣で立ち止まった晴が、少し嫌そうに呟く。
「すっごく盛り上がってるね!」
わざと明るい声を出して、心を“楽しい”で満たす。
「お、晴じゃん。隣、彼女?」
背の高いこの学校の男子が、ぐしゃっと晴の頭を撫でた。
「ちげーっすよ。てか、やめてください。」
犬みたいに撫でられていた手を、晴がぱっと振り払う。
——敬語ってことは、先輩かな。


