漂う花は、還り咲く


頭を押さえる。

「じゃあ私だけ!?
普通の一般人なの!?」

「六花は六花だろ」

晴が、いつも通りの声で言う。

それが、なぜか一番安心した。

「……なんかさ」

私は笑いながら言った。

「みんな、学校ではちゃんと生きてて、裏でだけああなんだ」

「逆だろ」


結翔が言う。

「裏があるから、表が保てる」


その言葉に、少しだけ考える。

でもすぐに、私は肩をすくめた。


「ま、いっか」

「?」


「どんな顔持ってても、これまで一緒にいたみんなは本物でしょ」


一瞬、全員が黙って。

それから、なぜか少しだけ空気が柔らいだ。

制服姿のまま歩き出す私たち。

昨日の夜とは、まるで別の世界。


でも。

この人たち、全員“二つの顔”を持ってる。

……私も、もう。

その一員なのかもしれない。


伊織が、ふと思い出したみたいに言った。

「そういえばさ、今週土曜日に高等部は文化祭あるけど、来る?」


私の足が止まる。

「……え?」


「一般公開。つっても、チケット持ってる人しか入れないけど。招待しようか?」

一気にテンションが上がる。

「行きたい!」

即答。

「六花、絶対そう言うと思った」

千隼が笑う。

「でもさ」

私は首を傾げる。

「晴は?中等部でしょ?」

「俺も行く」

晴が短く言う。