体は痛い。
正直、今日はもう動きたくない。
でも。
私、ちゃんと前に進んでる。
そう思えた。
ベンチから立ち上がった、そのときだった。
「……なあ」
結翔の声が、少しだけ低い。
私は振り返る。
結翔は、路地裏の方を見ていた。
さっきまで私たちがいた方向。
「……なんか、変じゃね?」
「何が?」
千隼も、伊織も、同じ方向を見る。
街灯の影。
ゴミ袋。
壁。
一見、何もない。
でも。
「……あれ」
凛月が、指をさした。
壁の高い位置。
人の手じゃ届かないところに、小さな赤い点。
……光?
「……カメラ?」
その言葉が出た瞬間、背中に、冷たいものが走った。
「嘘でしょ……」
私は、無意識に一歩下がる。
晴が、すぐ前に出た。
「動くな」
低い声。
さっきまでとは、明らかに違う。
「……いつからだ」
晴の視線が、赤い点を射抜く。
「最初から……かも」


