漂う花は、還り咲く



気づいたら、明るい通りまで出ていた。

街灯の光が、やけに眩しい。

さっきまでの路地裏が、もう遠い。

「ちょっと、ここ座れ」

晴が言って、私はベンチに下ろされた。

おんぶから降りる瞬間、少し名残惜しいと思ってしまって、それを悟られないように視線を逸らす。


「腹、どうだ」

「……ちょっと、痛い」

正直に言うと、晴は眉をひそめた。


「ちょっとじゃねえだろ」

「でも、歩けるし」

「今は黙れ」

いつもの調子なのに、語尾が少しだけ優しい。


結翔が戻ってきて、自販機の冷たい飲み物を差し出してくる。

「ほら、少しずつ」

「ありがと……」

喉を潤すと、やっと呼吸が落ち着いてきた。


凛月が少し離れたところで、周囲を確認してる。


千隼と伊織は、私を見ては目を逸らして、また見る。


「……なに」

「いや」

「なんか」

「思ってたより、普通の顔してるなって」


普通。
その言葉に、少しだけ笑ってしまった。


「自分でも、そう思う」

もっと震えてると思ってた。
もっと、泣くと思ってた。

でも実際は、
体は重いのに、頭は妙に冴えている。