「何しに行くの?」
「何って、実践だろ」
千隼に淡々と返されて、思考が一瞬止まった。
実践。
それはきっと、溜まり場の外に出て、海月のメンバー以外と本気でやり合うってこと。
「え、無理無理!!」
殴られて、吹っ飛ばされて、傷だらけになる未来しか見えないよ。
「だから晴を連れてけ。流石に一人で送り出したりはしねぇよ。」
ちらっと晴を見ると、任せろと言わんばかりのドヤ顔。
晴がいるなら安心していい…のかな。
でも、外での喧嘩は、海月メンバーとの手合わせとはわけが違う。
振り上げる拳は、寸止めでも、速度を落とすでもなく、本気で相手に当てにいかないといけない。
そんな喧嘩、やったことがない。
できるとも思えない。
というか、人を殴るなんて──。
「六花。強くなりてぇんだろ?」
凛月に、まっすぐ目を見つめられる。
鋭い視線。
逃げられない。逃がしてくれない。
「強く、なりたい。でも、人を殴るとか…」
できない。
「じゃあ、一発食らえ。それで正当防衛だ。」
「殴られろってこと?」
「ちげぇ。受け流すんだ。練習しただろ。」
受け流す。
確かに、やった。


