漂う花は、還り咲く

晴の靴先が半歩だけ前に出た。

軽く体を捻り、不良の腕を掴んであっという間に倒し、伊織が別の一人を押し返す。


…強い

不良たちは一瞬で腰が引け、立ち去ることを選んだ。

「なんだよ、もっとかかるかと思ったぜ」

晴が挑発するように言い、
「大人しくしろよ」と睨む伊織。

私はその様子を見ながら、自分の知らなかった“海月”の強さを肌で感じていた。


そのまま何事もなかったかのようにコンビニの袋を振り回しながら歩き出す晴を見て、この世界では珍しいことではないのだと察する。


「六花、怖くなかった?」

結翔が私の顔を覗き込んでくる。


「怖いっていうか、びっくりした。晴、強いんだね。」

「まぁ、中学生ではあるけど幹部だからね。」


そっか、そうだよね。

みんなより小さいから無意識に守ってあげなきゃって思ってたけど、晴は実力で幹部まで上り詰めてるんだもんね。


「あ、そういえばお金。コンビニ、結翔に払ってもらっちゃったよね?」

「あーいいよ。これ、海月みんなの金だし。」

「みんなの…?」

「この財布の中身はな、先代が残してくれた資金を千隼が運用して増やしたやつなんだ。

あいつ、数字と情報にめちゃくちゃ強くてさ。普通の高校生じゃまずやらないような方法で、何倍にもしてくれた。」

「え…何それ、すご…」


私の動きを一瞬で分析して言語化してくれたのは、情報処理が得意だからだったんだ。