漂う花は、還り咲く

「…やっぱり、初動の反応はいいんだよな。」

千隼が腕を組み、じっと映像を見つめながら呟く。

「重心の変化に即座に反応してる。普通は怖くて足がすくむようなタイミングで、体が勝手に動いてる。」


「だけど、後が続かない。」


千隼の声に、隣の凛月が頷いた。

「悪くはねぇ。……だが、まるで戦い方が“生き延びる”ことに特化してる。 “勝つ”って意識がねぇな、お前。」


たしかに、そうだった。

私は、凛月の一手一手に反応し、すべての攻撃から“逃げて”いた。

回避の精度は高いと褒められたけどーーそれは、ただの防衛だった。

攻め手はひとつもなかった。

“どう勝つか”を、最初から考えてすらいなかった。


「例えばこの瞬間。」

画面には、私が凛月の攻撃をかわしたあと、一瞬フリーズした動きが映る。


「ここで避けた先に目的があれば、攻撃に繋げられる。でもお前は無防備に立ち尽くしてる。これじゃあ、相手に対して何もできてない。」


さらに、千隼が指摘した。

「致命的なのは“攻撃の手段”を知らないことだ。単に避けるだけじゃなくて、どう相手にダメージを与えるのかがまるで見えてない。」


全て見抜かれてる。

避けることに精一杯なのも、攻めの方法が分からないことも、全部。


そこに、凛月がゆっくりと口を開いた。

「動きは悪くねぇ。むしろ鋭い。だが体力がなさすぎる。持久力も筋力も足りてねぇ。」