漂う花は、還り咲く


そんなの、ただの一言のメッセージなのに。

こんなの、ずるいに決まってるじゃん。

気づけば、口角が勝手に上がってて、慌てて袖で隠す。

誰にも見られてませんように、って願いながら。

ほんと、なんなんだろう。

昨日の今日で、こんなに心臓動くとか……
自分で自分がわかんない。

さっきまで、筋肉痛がキツすぎて、早く帰ってごろっとしたいって思ってたのに。




チャイムが鳴った。

六時間目の英語が終わって、教室の空気が一気に緩む。

みんな「つかれたー」とか言いながらカバンをまとめていて、

私もだる重い体にむち打って、ロッカーから荷物を引っ張り出した。

「六花ー、今日カフェ行かん?新しくできたとこ!」

前の席の友達が、にこにこと顔を出してくる。

「あー、今日? ごめん、用事ある」

「え、今日バイトだったっけ?」

「んー……まあ、そんな感じ」

「そっかー、残念。また行こ!」

「うん、また今度!」

そのやりとりに、近くの子が

「てか、今日の六花めっちゃ動いてたよね?てっきり疲れて寝てるかと」

なんて言ってきて、笑いながら軽く手を振る。

「それな。帰って即、布団ダイブしたい」

「はは、おつかれー」

みんなと別れて昇降口へ向かう。

湿った制服の内側にまだ残る熱が、不快だけど――

気持ちは、ちょっとだけ軽かった。

玄関を出て、家の方角に向かう。