漂う花は、還り咲く

そのとき、目の前に水のボトルが差し出された。


「おつかれ、六花」

顔も見ずに受け取って、ぎこちなく笑う。

「……ありがと」


自分でも、今どんな顔してるかわからない。


「六花…!あんたかっこいいよ…!」


どんと後ろから衝撃が走り、慌てて踏ん張るとまた痛みが駆け抜ける。


肩に回された腕の重みに耐えながら、同じく汗だくで息切れしてる友達に目を向ける。


「こんなに六花が頑張るなんて…!私たち感動したよ!」

「六花、まじ昨日なにがあったの!」


みんなでどかっと地面に座り込みながら笑い合う。

たかが体育の授業で、こんなに汗だくで息を切らすのなんて初めてで。

自分のそんな状況と、友達の驚く顔がなんだか面白くて。

自然と笑いが漏れた。


座ってるのもしんどくて、力を抜いて地面に寝転がる。


空が青い。太陽が眩しい。


「休憩終了ー!並べー!」

謎の達成感を噛み締めていると、先生の招集がかかってしまった。


なんとか立ち上がり、うわの空で先生の話を聞き流していると、チャイムが鳴った。


やっとだ…


体育が終わって、ヘロヘロのまま教室に戻る。


スカートの中、汗で張りつく太ももが不快すぎて、ハンディファン片手に思わず机に突っ伏した。

「……暑っ。てか疲れた……」

「六花、マジがんばってたなー」


「なあなあ、帰り倒れんなよ?」


みんなの言葉に、曖昧に笑い返す。