痛みの奥にあるのは、昨日の余韻と、少しの誇らしさ。
それでも、なんとか制服を着終えて、鞄を肩にかけるときも
「いたたたたっ……」
と、毎動作ごとに小さく悲鳴。
靴を履いて玄関を出ると、階段を下りるのがまた試練。
段差一段ごとに「いて…」「いてて…」と情けない声が漏れる。
それでも空は青く澄んでいて、朝の風がちょっと気持ちいい。
前は“学校に行く”だけだったこの時間が、今日はなんだか違って感じる。
「いってきまーす」
ぎこちない歩き方のまま、ゆっくりと足を進める。
それが、昨日とは少し違う、自分の意思で踏み出す一歩だった。
チャイムと同時に教室へ入った瞬間、数人の視線が集まった。
気のせいかと思ったけど、すぐにその中の1人が声をかけてくる。
「六花、足どうしたん?」
「えっ……ああ、ちょっと筋肉痛で」
そう答えた途端、教室の空気がぴたりと止まった。
――筋肉痛?
わかってる。
私は別に、体育をサボったことなんてない。
いつも通り、そつなくこなすだけ。
本気を出すことはないけど、それなりに動けるって思われてる。実際、動けるし。


