漂う花は、還り咲く



気合いを入れてなんとか立ち上がり、電気をつける。

目の前に広がったのは、いつも通りだと思っていた今朝のままのリビング。

今日の1日だけで、たくさんの刺激が私を揺さぶった。


ソファのクッションを抱きしめると、じんわりと胸の奥が熱くなる。

初めて感じる悔しさ。
初めて感じる居場所。

怖かったのに、楽しかった。

あの場に、もう一度立ちたいって思ってる。

自分でも信じられないけど、明日が来るのが楽しみだなんて。


「……もう、変わったのかな、私」


ぽつりとつぶやいて、汗で冷えた身体をようやく立ち上がらせる。

シャワーを浴びないとベタベタして気持ち悪い。

お湯を浴びると、張りつめていた緊張が一気にほぐれて、その場にしゃがみ込みそうになるほど力が抜けた。


流れていく水音の中で、頭の中を繰り返す。

「ちゃんと見せろ」って言った凛月の声。

「よく頑張ったな」って言った結翔の声。


あの人たちに、恥ずかしくない自分でいたい。
もっと強くなりたい。
負けたままじゃ終わりたくない。

そう強く思った。

シャワーを終えると、スマホに着信が入っていた。

海月のグループLINE。


[六花、今日はお疲れ!
明日の放課後空けとけよ。
詳しくは朝連絡する!]


「……もう、次が決まってるんだ」


笑ってしまう。

でも、嫌じゃない。

むしろうれしい。


画面を伏せてベッドに転がる。

どっと押し寄せる疲労感。

まぶたが重い。

――明日も、行くんだ。

決意を胸に、深い眠りに落ちた。