「みんな、またね。」
「ばいばい!」
「じゃあな」
「また明日」
「ゆっくり休めよ」
一言声をかければ、次々と返ってくる。
それが心地よくて、嬉しかった。
部屋を出ると、下っぱさんたちがすぐに声を掛けてくれた。
「もう帰るのか?」
「今度、俺とも手合わせしてくれよ!」
「次来たとき、こっちの部屋にも顔出せよなー」
あぁ、もう私は受け入れてもらえたんだ。
それが分かって、嬉しくて、頬を緩ませながらひとつひとつ返事をする。
その間、結翔は少し離れたところで優しく見守っていてくれた。
パッと見は、体格のいい、言葉の乱暴な男たち。
でも話してみると、それぞれが仲間を思う気持ちを持っていて、この場所が大好きなのだと分かった。
急に現れた、喧嘩なんて未経験の私のことも、仲間だと受け入れてくれて。
私の偏見だったのか、海月だからなのかは分からないけれど、私の中の暴走族のイメージは今日で塗り替えられた。
「六花、そろそろ行くぞ」
結翔が来た。
最初は知らない男の人だらけの雰囲気に緊張して、結翔の存在を意識しながら話していたのに、気づけば夢中になっていて、帰ろうとしていたことすら忘れていた。
「六花、またなー」
「じゃなー」
集まってくれていた人たちとハイハッチしながら、結翔の後を追う。
「仲良くなるの早すぎだろ…」
結翔のつぶやきに、私は思わず笑ってしまった。
「だって、みんな優しいんだもん」
「……そうか」
それだけ言って、結翔は黙る。


