漂う花は、還り咲く


ふっと結翔が笑う。

この人は、なんていうか、すごく力を抜いて笑うんだなって思った。

気を許してるわけじゃないのに、なんとなく安心する。

多分、笑ってるその目の奥が、ずっと誰かを見てるからだ。


「最初、びびってたっしょ?海月とか、怖いイメージあったろ」


「……うん。正直、もっと刺青とか、金髪とか、タバコの煙とか……」


「偏見すぎー」


「だって……!」


笑いながら突っ込んでくる結翔につられて、思わず笑ってしまう。


気づけば、他のメンバーもそれぞれ近くに座っていて、自然と円になるようにソファや床に腰を下ろしていた。


晴はお菓子をばら撒きながら反省中。

千隼は何かパソコンに打ち込んでいる。

伊織は唐突におしゃべりモードで、

凛月は――目を閉じて、たまにうっすら反応しているだけだけど、そこにいるだけで場が締まる。



この場所、不思議だな。

普通の不良っぽくないのに、でもそれぞれ芯の強さがにじみ出ていて、
この中に混ざっていることが、まるで自然に思えてくる。



「六花は、夢とかあんの?」


ふいに聞かれて、私は視線を結翔の横顔に向けた。


「夢、か……ううん、あんまり。ずっと、今を生きるだけで精一杯だったから」


「……そっか」