漂う花は、還り咲く

伊織も、千隼も、凛月さえも私に視線を向けてくる。

結翔がゆっくりと頷いた。

「……なら、ここで少しずつ思い出すのも悪くないかもな」


結翔のその言葉に、私はうっすらと笑って頷いた。


まだよくわからない。

自分がどうしてこんなことができたのかも、
この人たちがどこまで本気で私を受け入れてくれるのかも。


でも、今日一日だけでも――ここにいて、ちょっと安心できたのは確かだった。



「六花、好きな飲み物とかある?」

ふと、伊織が冷蔵庫の前で振り返る。

どうやら本気でおもてなしモードに入ったらしい。


「えっと……コーヒーとかは、そんなに得意じゃないかも」

「はいはーい、炭酸水入りまーす」

パカッと冷蔵庫を開けて取り出したペットボトルを、几帳面な手つきで注ぎ、紙コップごと手渡してくれる。


「ありがとう、伊織」

「おう、名前呼んでくれんのいいね。ちょっと照れるけど」

「……やっぱ女好きだな」

千隼のボソッとした声に、伊織が「うるせー!」と叫んで笑いを起こす。


そのやりとりをぼーっと見ていたら、となりのソファにいつの間にか結翔が座っていた。


「六花、疲れてない?」

「ううん、大丈夫。ちょっと目が回ったけど……晴のおかげで」


「アイツな、テンション高いから」