漂う花は、還り咲く


その声は、さっきまでとは比べ物にならないほど冷たかった。


晴がぴたりと動きを止める。

「え、いや、俺、そんな本気じゃ……!」

「六花が本気じゃないの、見りゃわかる。乗りすぎだ」

「……ごめん」

もぞもぞと私の上から降りた晴は、子犬のようにしゅんと肩をすくめる。

私はソファの上で体を起こしながら、晴を見て思わず笑ってしまった。


「ありがと、でも大丈夫。晴、全然悪気なかったし。楽しかったよ。」


私の言葉に、凛月はじっと私を見つめてから、目を閉じてまたソファに沈んだ。


「……晴、限度をわきまえろ。」


ぽつりと漏らされたその言葉に、晴が小さく身をすくめる。

そんな光景に、伊織がくすっと笑った。


「まーた凛月、過保護モード入ってるし。お前、案外六花のこと気に入ってる?」


「……知らねぇ」


顔を背けながら呟いた凛月の耳は、ほんの少しだけ赤くなっていた。


「でも、なあ?こいつやっぱすげぇだろ」

「……まあな。まるで昔、何かやってたみたいだった」

千隼のその言葉に、私は静かにうつむいた。

「……6歳までに、何かやってたのかもしれない――」

小さな声でそうつぶやくと、場の空気がすっと変わった。