数日後、コーヒーショップのテーブルに鈴奈と貴文は、向かい合って座っていた。

貴文と逢うまでの数日間のモヤモヤした気持ちを吐き出すかのように、鈴奈は話し始めた。

「貴文、ちょっと聞きたい事があるの」

「5月20日、渋谷にいった?」

「そんな前の事、憶えてないよ」と即答した貴文。

「ちゃんと思い出してよ、誰と行ったかもね!」

「友人が、渋谷で貴文が女の人と歩いていたのを見てるのよ。
それも、仲良さそうに手を繋いでいたって。」

「ほんとに憶えてないよ。それほんとに俺なのか? 人違いじゃないのか?」と貴文

「本当のこと言って、嘘つかれるのは辛いわ……」

「……………」

2人の間に重たい空気が流れた。

長い沈黙を破ったのは、貴文だった。

「鈴奈、ごめん……」

ついに貴文は二股をかけていたことを認めた。

鈴奈は頭の中がぐちゃぐちゃにになり、整理がつかなくなったので、彼をひとりお店に残し、外に飛び出た。

部屋に着いは鈴奈は、冷蔵庫に直行。

缶ビールを取り出し、勢いよく開けそのまま口に持って行き、ゴクゴクと飲み始めた。

彼が二股をかけていたことを知り、精神的にもボロボロで、喉もカラカラの状態だった。