顔合わせ


 鈴奈と敏輝の2人は、敏輝の両親の実家を訪れた。

和風な木造作りで、昭和の雰囲気のある2階建てで、5LDKはありそうな大きなお屋敷だった。

広い敷地には、手入れされた木々と植物、それと高級車が2台。これも手入れされた状態で置かれている。

 私達は応接間に通された。
そこには5〜6人掛けのソファとテーブルがあり、フローリングの床の上には、上品な柄の絨毯が敷かれてあり、ふわふわと気持ち良かった。

挨拶をして、私の父が手土産にと渡してくれた高級メロンを、
母親であろう方に手渡した。
高級メロンを快く貰って頂いた。

 これは結婚して何年も後に夫から聞いた話しだが、真宮邸を訪れるお客様は、必ずと言っていいくらいに、高級メロンを手土産に持って来るそうだ。

なので幼少期の頃から、高級メロンを食べていた夫は、今ではメロンを見るのも嫌だと言っている。
本当に贅沢な悩みだ。

 私と敏輝さんは並んで座り、テーブルを挟んで向かい合わせに、お父様とお母様が座った。

「こちらが結婚する、香坂鈴奈さんです」
と敏輝さんは紹介してくれた。

敏輝さんから、お父様は警視庁のキァリアと聞いていたので、想像していた様に恰幅もよく、また威厳のありそうな顔立ちでもあった。

私を見る目が、どこか鋭く感じられた。もし、私が容疑者だったら、罪を認めてしまうかもしれない……。

「初めまして、香坂鈴奈と申します」と緊張しながら挨拶した。

私の情報は敏輝さんから御両親に話してあったらしく、根掘り葉掘り聞かれる事はなかった。

ただ仕事に関しては聞かれた。
今の仕事内容や、仕事についてどう思っているのか、結婚したら仕事はどうするのか、辞めるのか、続けるつもりなのか、結婚後の仕事が気になっている様子だった。