このお見合いに最初から乗り気でいた敏輝さんは、積極的に鈴奈と連絡を取っていた。
敏輝さんから食事や映画などデートの誘いを受けていた鈴奈は、予定が合えば2人で会って、他愛のないお喋りをしたりして、それなりにデートを楽しんでいた。

5回目のデートの日、ディナーに素敵なホテルのレストランが予約されており、そこで鈴奈は敏輝さんからプロポーズを受けた。

「僕は鈴奈さんを絶対幸せにします。経済的にも苦労はさせません。結婚して下さい」

さすがエリートサラリーマンのプロポーズだわと思った。

今でも本当に好きなのは、二股をかけられていた貴文だ。

貴文にとって鈴奈は本命ではなく、2番目の相手だったから、
結婚する事は出来ない…。

頑張っても彼のお嫁さんにはなれない…。

光橋颯太と朝吹蓮は鈴奈の中では、セフレと位置付けているので、結婚の相手とはならない。

相変わらず2人とは、ダブルブッキングしないように注意しなが、逢瀬を、重ねている。

お互いの利害関係を尊重しながら、それぞれの私生活には口は出さないで……。

これからどうしょうかと迷っていた所に莉乃からの電話で、今回のお見合いをする事になったのだった。

そんな莉乃から電話があった。

「敏輝さんとはどうなっているの?」

「莉乃! 困っているの…。敏輝さんからプロポーズされたわよ」

「そう! やっぱりね。敏輝さんは最初から乗り気だったもの!」

「それで、どうするの?」

「うーん……。迷っている」

「悪い人だとは思えないし、後は鈴奈の気持ち次第だね」

「そうだね……」

敏輝さんは悪い人ではない……。
それは分かっている。

人生の決断なんてこんなものなのだろうか……。

立ち止まっている時間はあまりない……。
アラサーの自分には。

前に進んでみるのもアリかも……。