二股をかけられていた事を知った時は、悔しさから、
『アイツより、いい男見つけて結婚してやる!』と、息巻いていた時もあったが、貴文のことは今でも好きだし、忘れるなんてことは出来ないと思っている。

 友人のお節介に、乗ってみるべきなのか?

「……………」

「一度会ってみるか」

鈴奈は、ひとり呟いて自分を納得させていた。

 貴文とはあの日、喫茶店で話して以来、連絡はなく、後にも前にも進めない状態が続いていた。

 そんななか、莉乃に会ってから1ヶ月後位が経とうとしている時に、莉乃からまた電話があった。

「鈴奈、お見合いのお相手凄い乗り気よ!」

「近いうちに逢いたいと言ってるわ」

「そ、そうなの……」

私の言葉など聞こえないような勢いで莉乃は、

「日曜日なら空いていると言っているのよ。10月19日は大安だから、その日はどうかという提案があったわ」

「なんだか正式なお見合いのようになってきたわね。大安の日を選ぶなんて……」

「莉乃の顔を立てる意味でも、取り敢えず会うだけ会ってみるわ」

「会ってみて、どうしてもイヤだったら断ってもいいのよ。気軽な気持ちで会ってみなよ」

「こういうのはやっぱり" 縁 “ だからね」

「わかったわ。その日は空けておくわ」

「詳しい事はまた電話するわ」
と言って電話は切れた。