い、1日中・・・。
人質になってしまったのでプライベート(?)の文句は言えなくても、プライバシーの文句は言ってもいいはず。
「部屋の中だったら歩き回っていいからね。来週は午前中だけ学校行って、すぐ停学になると思うから」
なんか慣れ過ぎてて怖い。
それに、顔に傷のひとつやふたつ、あったほうが怖くないかもしれない。
暴走族の総長なのに傷ひとつない顔なんて、強さを想像するだけで寒気が止まらない。
お兄は眉のところに傷があるんだよね。
桜ちゃんとお兄で、どちらが総長になるか、戦ったときにできた傷だ。
お兄はどちらかというと、その傷でイメージが『こわい』よりも『やんちゃ』方面に走って行ってしまったんだけど。
「朱羅・・・負けたことないの?」
「負けたこと?ないなぁ。傷はできたことあるけどね」
エスパーですか?
意味ありげに笑う朱羅に驚きを隠せないでいると。
「ねぇ」
朱羅が悪戯っぽく笑った。
「俺の傷、お腹と背中にあるよ?見せてあげる」
「な、見っ・・・見せなくていい・・・!」
突然なんてことを言うのだこの人は・・・!
私の抵抗もむなしく、朱羅がチラリと服をめくった。
たしかに後になって残った傷跡があるけど・・・。
それよりも綺麗な腹筋が目に入って・・・。
「・・・っわ!しまって!」
「え~?今のでちゃんと見えたの?じゃあ背中も見せてあげる」
「いらない・・・!!」
顔が熱い。
きっと私はいま真っ赤になってるだろう。
「ふふ、耳まで赤い・・・可愛いね」
そう言って耳に触れてきた朱羅の顔が近づいてきて・・・。
「っひゃ・・・!っかかかか、噛んっ・・・」
「ピュアなんだね、すっごいタイプだなぁ」
カプリと耳を甘噛みされ、思わず後ろに飛びあがった。
「ぜぇんぶ俺が教えてあげるからね。ひとつずつやってこ?」
「やらない・・・!」
いつ殴られてもおかしくない状況で、思いっきり拒否できるくらいには、私の神経は図太いみたいだ。
思わず手で顔を覆って首を横に振る。
「隠さないで俺に見せてよ」
朱羅の気配が近づいてきて、その冷たい指先が、私の手首に触れる。
あまりの冷たさに驚いて力が抜けると、朱羅はいとも簡単に、私の手をはがした。
「見ないで・・・!」
「なんで?照れてるの、すっごい可愛いよ」
「そんなこと言わなくていいから・・・!!」
「事実なのに?俺はもっと縫ちゃんに『可愛い』って言いたいなぁ」