人質になったら敵総長に執着監禁されてます・・・?

「あの・・・私は、まだ高校生です。人質になったとしても高校いかなきゃですし・・・」
「そこらへんは気にしないで。恋愛応援制度、3年分使わせてもらっただけだから」
「さ、3年分?ってことは半年・・・?」
「そう。あれ、使いたい人でもいた?」
そのどう考えても危ない笑顔、やめてほしい・・・。
「いないですけど・・・」
「ならよかった」
ニッコリ笑った彼の考えは理解できないけど、ちょっと整理させてほしい。
『恋愛応援制度』というのは、名前通り恋人または友人以上恋人未満を応援する、私が通う三葉学園特有の制度だ。
3年間で合計半年、休みを取って存分にイチャイチャしてくださいね、というもの。
ほとんどの恋人たちは1年で2カ月の休みを取る・・・ということは3年繰り返し、末永くお幸せになってるんだけど。
まさか一気に、しかも監禁に使われちゃうとはなぁ~・・・。
恋人もいなければ約束をした人もいないから、勝手に使われたことは許そう。
だって監禁っていう出来事の方が重大すぎるんだもん・・・!!
「これで半年は一緒に過ごせるね」
「・・・っひ」
怖い怖い怖い・・・!
なに考えてるか分からない貼り付けたような笑みが、私はどうやら苦手みたいだ。
「私は・・・なにをすれば」
「えっとー、まず俺のことは朱羅って呼び捨てにしてね?あとタメ口で話して」
「え、い、いえ、私たちは敵同士で・・・」
「ん?まぁ、従わないならそれでいいけど?」
待って待って、すごく危ないよこの人・・・!
悲鳴をあげなかった私を褒めてあげたいくらいには威圧感がすごかった。
「わ、わかったから・・・威圧やめて・・・」
「え?あ、そうだったね、きみは女の子だった。ごめんね?女の子の扱いには慣れてなくてね」
え、と声が漏れる。
明らかにチャラ男じゃないか、この人は。
飄々とした雰囲気には遊び人という名札(イメージ)がピッタリだ。
「しゅ、朱羅・・・なにを、すればいい?」
「うわ、その上目遣いすごい良いね。じゃあ初くんに動画でも送っちゃおうか!」
お兄に動画・・・?
あ、来るなって伝えるためのかな・・・?
「じゃあGPS切って。ビデオ通話はできる?」
「うん」
お兄のスマホを繋がっているGPSを切り、ビデオ通話の準備をする。
「これ・・・背景は映していいの?」
「結局全部バラすから問題ないよ」
まぁ確かに?とすっかり状況に馴染んでる私は意外とすごいのかもしれない。