この偽装恋愛、もしやとてつもなく甘い…? 傍若無人な御曹司がこんなに愛してくるなんて聞いてないですっ!

『勉強教えて』と女子が可愛くお願いしても、『時間の無駄』と冷酷な目で追い払うし。

 球技大会の競技決めの時だって、見ててハラハラしたんだから。

『サッカーに出て欲しい。国見の力を貸りたいんだ』

『俺らとバスケはどう? 一致団結ってけっこう楽しいじゃん!』

 男子が声をかけても、傍若無人プリンスの不機嫌顔は崩れない。

 形のいい唇を少しだけ開き

『一致団結って言葉、滅べばいいのに』

 だって。

『個人競技にしか出るつもりはない』

 学校行事なんて面倒くさいと言いたげな顔で、眉も目も吊り上げて教室から出ていっちゃったの。

 しばらく教室の中は、誰も声を発しない気まずい空気が流れていたんだから。