この偽装恋愛、もしやとてつもなく甘い…? 傍若無人な御曹司がこんなに愛してくるなんて聞いてないですっ!

 恥ずかしすぎる。

 高校の誰にも知られてないと思っていたのに。

「あそこの横断歩道はカーブの先にあって車から見えにくいんだ。抜け道だから飛ばしてくる車がいて、小学生たちがひかれないか心配で」

「子供たちが楽しそうにさらとおしゃべりをしてた。学校に行きたくなさそうな顔で歩いていた子でさえ、さらと話したあとは笑顔になって。すごいよ、さらは。今も旗振りを続けてるうえに、子供たちの心も救ってあげて」

 国見君に褒めてもらえるなんて嬉しすぎる。

 でもね――

「私は誰の心も救えてないよ」

 戸惑い気味の視線を振り払うように、静かに顔を横に振る。

「毎日子供たちを見てるとね、辛いことがあったんだろうなってわかる時があるんだ。でも悲しみを消してあげることはできないの。一緒におしゃべりをして笑ってくれたりはするけど、その子の辛さをほんの数秒ごまかしてあげるのが精いっぱい」