カフェラテ色のサラサラ髪が、私の頬をくすぐり始めた。

 ビクンと跳ねた肩。

 後ろから抱きしめられ、脈の暴走が抑えられない。

 乱れてしまう呼吸を鎮めなきゃという焦りのせいで、まぶたがくっついてしまう。

 立ったまま観覧車のガラスに手をつく私の全身が、色気のあるぬくもりに包まれている。

 バックハグをされているだけなら、もう少しだけうまく息ができるのかもしれない。

 両手までもがガラスの冷たさとゴツゴツした男らしい手のひらに閉じ込められていて、全力疾走で唸る心臓を休ませるのはどうやら無理らしい。

 最高地点に達したゴンドラの中、国見君にバックから抱きしめられているこの状態、逃げ場なんてどこにもない。

「高校の友達に見せられない顔を、俺だけに見せてよ」

 後ろから私の肩に頬を乗せた彼が、甘い声で私の耳を溶かそうとしてくる。