この偽装恋愛、もしやとてつもなく甘い…? 傍若無人な御曹司がこんなに愛してくるなんて聞いてないですっ!

 静まりかえる観覧車が、いつのまにか地上に到達してしまった。



 悲鳴のように鳴り響いたブザー。

 目を覚まさせるように豪快に開いたドア。

 これらが、国見くんの仮カノは終了ですと私に告げている。



 夢が終わってしまった。

 王子様に愛されるシンデレラにはなれなかった。



 私なんかが国見君に選ばれないことぐらいわかっていたはずなのに、悲しみの刃が胸を突き刺してきて、激痛のせいで表情筋が歪んでしまう。



「おかえりなさい。足元に気をつけて降りてください」



 観覧車降り場に立つスタッフのお兄さんが、笑顔で迎えてくれた。



 国見君とバイバイするまでは、私も笑顔を作り続けなきゃ。

 これ以上、好きな人に失望されたくない。

 胸に垂れる髪をさすりながら、悲哀交じりの息を吐き出す。



 表情筋はなんとか持ち上がった。

 大丈夫、ちゃんと笑顔が作れている。





 観覧車を降りようと立ち上がり、ドアをくぐろうと足を踏み出した時だった。

 私の手首がギュっと掴まれたのは。