この偽装恋愛、もしやとてつもなく甘い…? 傍若無人な御曹司がこんなに愛してくるなんて聞いてないですっ!


「国見くん、大好き……」


「え?」


 戸惑い声が降ってきて、ハッとなった私。

 私の頬を両手で包んだまま、国見君は目を見開いている。

 大好きって言っちゃった。

 恋心をこぼしちゃった。

 恥ずかしい。

 迷惑だったよね。

 国見君の手のひらから逃げるように彼に背を向け、今度は自分の両手で顔全体を覆い隠す。

 嫌われたくない。

 幻滅されたくない。

 学校で気まずくなりたくない。

 でも国見君のことが大好きという想いは、私の中で茂っている。

 期待という水を与えなくても成長し続け、干からびることはない。

 甘さが充満していた観覧車内の空気が変わった。

 まるで氷点下の雪国に迷い込んだよう、ピリッと冷えきっている。

 後悔と恥ずかしさが何度もこみあげて来て、肺が凍りついたように息苦しい。

 彼に背を向けて座っているからわからないけれど、国見君は私に幻滅しちゃったんだろうな。

 形のいい唇から、低く麗しいオス声が奏でられなくなったのがその証拠。