「藤澤さん!俺のにもメッセージを……!!」
「近江くんっ。最後に一緒に写真撮ってくれない!?」
「広瀬先輩ッ!思い出に何かくれませんか!?」
「榛名くーん♡サインして!」
卒業生も在校生も入り混じって、我先にと私達の元に人の波が押し寄せる。
天音ちゃんの隣でその勢いに圧倒されて目を白黒させていると、グイッと手首を力強く引っ張られた。
「何ボーッとしてんだよ姫!逃げるぞ!!」
私を引き連れて廊下に飛び出した広瀬真が、眉を顰めてそう叫ぶ。
余裕顔の近江涼介と穏やかに笑う榛名聖もいつのまにか廊下のずっと先でこっちを見ていて、溢れかえる生徒達の間を縫って私達は走り出す。
「待て待て」と教室に押し寄せた人達も、その後を追って一斉に廊下へと流れていく。
1人取り残された天音ちゃんは、卒業アルバムを抱えてぽかんと目を丸くして立っている。
「……賑やかですね。ちょっと羨ましいくらい。」
柔らかな日差しが暖かく照らす誰もいなくなった教室で、天音ちゃんは肩を竦めてクスクスと笑った。



