姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「すごい!榛名聖じゃないみたい!」

「でしょ〜?表情作るの頑張ったんだよー?俺。」


夢中で雑誌を眺める私を見て、榛名聖は笑っている。

暖かく暗闇を照らす間接照明の光が、その輪郭をぼんやりと照らして滲ませる。

その表情には多幸感が溢れていた。


「――ねぇ、ひーちゃん。」

「……ん?」

私を呼ぶ優しい声の方に振り向く。

キャラメルブラウンの髪が眼前に降ってきたと思ったら、こめかみに柔らかな感触がゆっくりと当たった。


――そこにキスされたとわかるまで数秒。時間が止まる。