姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「ハイ、涼ちゃんはこっち向いて⭐︎」

言うのと同時に榛名聖が近江涼介の頬を押して強引にこっちを向かせる。
するとプレッツェルの先端が近江涼介の唇に触れてポキッと折れた。

「!?!?」

「あー、残念。折れちゃったか〜。」

数センチの至近距離。不測の事態に思わず赤面して固まった。
頬を押されたままの近江涼介は迷惑そうに眉を顰めている。

「聖……何してんだお前……。」

広瀬真も同じように目を見開いて真っ赤になっている。

「その反応だとキスはまだな感じ〜?
……“友達”には慣れてきたみたいだけど、恋愛はまだまだ初心者だねぇ。」

キ、キ、キ、キス!?!?
未知の単語に頭の中は大爆発。

「〜〜っ、○×△♨︎◻︎※!!」

余裕綽々の榛名聖の笑顔に、唸りとも悲鳴とも言える私の奇声が狭い車内に響き渡った。