姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「お兄さんどこ行くんですかぁ?」

「あの、連絡先だけでも教えてくれませんか?♡」

「ちょっとお茶とかぁ……」

見れば胸元に小さなロゴの入った濃紺のTシャツに細身のデニムとシンプルなスタイルの割に、誰よりも目立つ風貌の男がゾロゾロと女を引き連れて歩いている。

(……なんかムカつく。)

思った通りのハーメルンの笛吹き状態の近江涼介の登場に、いろんな感情がスンと落ち着く。

近江涼介が改札を出るや否や彼を囲み出す女の集団に、私は颯爽と割り込んだ。

「すいませーん♡この人、私の“彼氏”なので♡」

近江涼介の腕に自分の腕を絡めてきゃぴ♡と久しぶりの全力エンジェルスマイルを作る。

突然現れた絶世の美少女の登場に、しつこく纏わりついていた女共は“負けた”と衝撃を受けた様な顔をして一斉に去っていった。