――時を戻してあの日の旧校舎。
「お、俺の……恋人にナッテクレナイカ……!」
台詞の割に金髪は青ざめてるし、目は泳ぎまくりで私と視線が合うことは絶対にない。
なにあれ、悪魔に操られてるの?
挙動不審な金髪にドン引きしつつも、まあなんか告白してきたみたいだし?
あれ、言ってやりますか。
「――ありがとう広瀬くん。
でも私、人のことすぐバカとかブスとかいう程度も身長も低いやつって生理的に無理だし、米もまともに炊けないような非常識びっくりバカも無理♡
各所見直して出直してきやがれバーーーカ♡」
言った!言ってやりました!
思ったよりだいぶ早かったけど、こっぴどく振る作戦成功です!
晴れやかな私の笑顔を見て、一瞬ポカンとなる金髪。
次いでみるみるうちに目が吊り上がって顔も赤くなって、カーンと脳内ゴングが鳴る音がした。
「ちちちちげーーー!!!恋人ってもフリだ“フリ”!!
俺だってお前みたいな性格最悪ブス女なんか死んでもお断りだ、バーカバーカ!」
威嚇し合うレッサーパンダみたいにお互いが両腕を振り上げ今にも取っ組み合いが始まるという時、近江涼介と榛名聖が入ってきて戦争は終結したのだった。
……そして、榛名聖の仲立ちのもと事情を聞けば、金髪のくせに婚約者なるものを当てがわれそうになっているらしく??
それを回避するために私に恋人のフリをしてほしいということらしく??
車の外を顰めっ面で眺める金髪をちら、と見る。
『こんなこと頼めるやつお前しかいないんだよ。
……………だから頼む。』
相当言いたくなさそうな顔で、口ほとんど動いてないみたいなやる気のないお願いの仕方だったけど。
『友達のお願いは聞くべきなんじゃねーの?』
………って近江涼介が言うから、仕方なく、ね。



