放課後。 終業のチャイムが鳴り終わって暫く経っても、広瀬真は自分の席に座ったままだった。 (これはチャンス……!) チャンス、なんだけど妙に緊張して声の掛け方に迷う。 喉に詰まった声を何とか絞り出そうと息を吸ったり吐いたりしていると、不意に広瀬真が振り向いた。 「何変な顔してんだよ、ブス。」 いつも通りの怪訝な顔。失礼な言葉。 なのになぜだか切なくて、ふっと心が静かになった。 「失礼な。 ――ちょっと面貸しなさいよ、バカ。」