姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


“恋したくらいで関係が壊れるわけねぇだろ。”


広瀬真はそれを証明するように、ずっといつも通りにしてくれている。


でも、
“表面的に” 
“してくれている”
じゃ嫌だ。


私達の友達関係が広瀬真の我慢の上で成り立っているのなら、その証明は嘘になると思うから。

きゅっと硬く唇を結んで眉を吊り上がらせる。
ティーカップを持つ手にも力が入った。

……なにより宙ぶらりんなまま、広瀬真の気持ちを弄ぶようなことは絶対にしたくない。


“いつか”じゃなくて、“今”決着をつけて、ちゃんと友達に戻りたい。

戻るのに時間がかかることは覚悟して受け入れる。


それが私の思う、広瀬真との向き合い方だ。

榛名聖はその思考を読み取ったのか呆れたように脱力し、頬杖をついていた頭をずるりと崩した。

「頑固だねぇ、ひーちゃんは。
物事を曖昧にできないその性格、将来苦労するよ〜?」

「すでに17年苦労させられてんのよ。今更なんてことないわ!」

「強いねぇ。これはまーくん逃げられないね〜。」

「絶対逃さない。そのための奥の手も用意して――……」

場の空気が和やかになってきたところで、玄関が開く音と共に、傑兄ちゃんが私を呼ぶ声がした。

「傑兄ちゃんが帰ってきた!この話終わりで!
傑兄ちゃんに聞かれたら広瀬真が殺されちゃうから!」

「わー、物騒⭐︎相変わらずシスコンここに極まれりだねぇ。」